「時間を味方にする」とはどういうことか

投資

「複利は時間を味方にする」ってよく言われる。投資を始めた頃、自分もそう聞いて、なんとなく分かった気になっていた。でも実際のところ、それがどういう感覚なのか、腹落ちしないまま何年も過ぎていた人は、自分だけじゃないんじゃないかと思う。

複利というのは、指数関数的に数字が増えていく仕組みで、最初は驚くほど緩やかだけど、十年、二十年と時間が経つほど、思っている以上に大きな利益をもたらしてくれる。例えるなら、雪だるまを転がすようなものだと思う。最初の一転がりでまとう雪はわずかでも、転がすほど雪だるまの表面積が増えて、一回転で付く雪の量そのものが増えていく。元本に対して発生した利益にも次の利益が乗っていくので、時間をかけるほど、その"転がり方"そのものが変わってくる。

複利を実感したことは、まだない

投資を続けてきて、複利を実感した瞬間は、正直まだない。

というのも、投資自体はもう十年以上やっているんだけど、積み立てを継続してきたわけではなく、売り買いを繰り返してきたからだと思う。この考えに辿り着くまでに時間がかかってしまったのは、悔しいところで、最初から着実に時間を活用した投資をしていればよかったな、という気持ちはある。

若い世代や、時間にもお金にも余裕がある人は、複利は確実に利用した方がいいものだと思う。

数字で見ると、時間の力が分かる

複利は数字で説明されてもピンとこない部分があるので、時間の経過とともにどう数字が動くかを比較すると分かりやすい。

月10万円を年利5%で20年間積み立てると、元本2,400万円が4,110万円になる、という試算がある(※)。

最初の5年で増えるのはたったの80万円。でも、15年目から20年目までの5年間だけで、増加額は873万円から1,710万円まで膨らむ。

この数字を見ると、時間がいかに味方になるかが伝わるんじゃないかと思う。だからこそ、これは早いうちから始めるに越したことはない。

※この試算は年利5%を仮定した単純計算であり、手数料・税金は考慮していない。将来の運用成果を保証するものではなく、実際の運用では市場の変動により元本を割り込む可能性もある。

なぜ最初は緩やかなのか

なぜ最初は緩やかなのかというと、単純に最初は元本が少なく、それに対する利益も、当然5%分だけとなり、絶対額としては小さいからだ。

利益にさらに利益が乗っていくから、時間をかけるほど数字が跳ね上がっていく。逆に言えば、複利を使わない期間というのは、後になるほど"失っている幅"が大きくなっていくということでもある。後半に行くほど複利の効果が強く出るから、最初のハードルを早く超えられるかどうかが分かれ目になる。

複利は、マイナスにも効く

ここまでは増える話をしてきたけど、複利は増える方向だけじゃなく、マイナスの方向にも同じ力で効いてくる。ここに気づいたのは、正直かなり後になってからだった。

ちなみに、投資信託の手数料(信託報酬)の差というのは、思っているより効いてくる。年1%の手数料と年0.1%の手数料、この差を同じ条件(月10万円・20年)で計算し直してみると、最終的な資産額に1割以上の差が出る。手数料が1%高いだけで、20年後には数百万円単位で受け取れる金額が変わってくる計算になる。

それだけじゃない。売り買いを繰り返すたびに、複利の土台はそのたびリセットされてしまう。暴落が来たとき、何もしないという技術でも書いたけど、慌てて売ってしまうと、せっかく積み上げてきた土台がまた壊れてしまう。しかも利益が出ていれば、その都度およそ20%の税金がかかる。一度払った税金は、もう二度と複利で増えてくれない。

自分が10年間、売り買いを繰り返していたということは、つまり複利を止め続けていた、ということだったんだと思う。冒頭で「複利を実感したことがまだない」と書いたのは、たぶんこれが理由だ。

時間を最大化するために、お金がある

複利は、長い時間があるほど効果的になる。

子供と接する時間、自分の幸せのために使う時間。これを最大化するために、お金はとても便利な道具だと思っている。そして、そのお金を増やすための考え方が複利、ということになる。

子供と過ごす時間、家族と過ごす時間、自分の趣味や幸せを感じる時間はとても大切で、最大化する必要があると思う。そのときに使えるお金をきちんと持っておくことは、選択肢の幅を広げてくれる。

お金そのものにこだわっているわけじゃなくて、あった方がいい、というくらいのスタンスだ。使うときには使うことも、同じくらい大事だと思っている。

貯めるだけじゃなく、使うことも考える。ただ、お金は貯めておかないと、目標のために使えないという性質があるから、まずは時間を味方につけよう、ということだと思う。

減る時間と、増える時間

何にどう時間を使うかを考えれば、減っていく時間も、増えていく時間も見えてくる。

時間に対してどう考えるかで、投資への向き合い方も変わってくるし、自分の人生の残り時間を何に使い、何を増やし、何を減らすか、という輪郭も見えてくる気がしている。

複利で増やすこと自体が目的なんじゃなくて、増えた分だけ、子供や家族と過ごす時間を減らさずにすむ。自分にとっての複利は、たぶんそのためにある。


次に読むなら、迎えに行ったら、息子が喜んだ。子供と過ごせる時間は、思ったより短い。"増える時間"をどう使うかは、こっちの記事で書いた話につながっている。子供の前でお金の話をするかどうか迷ったときは、子供の前で、お金の話をするべきかも参考にしてみてほしい。

今日から試せることとして、まずは今使っている口座や投資信託の信託報酬が何%か、一度確認してみてほしい。数字にすると、複利がどちらに効いているか、案外はっきり見えてくる。

本記事は情報提供を目的としたものであり、投資勧誘ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

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